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一文物語

先日、奮発して、
3500円もする古本を買いました。

 「一文物語集」
 
すべて、一文で書かれた物語。
ひさしぶりに物語の力を感じた本。
で、僕も触発されて、いくつか書いてみました。


 勝つことより、戦い方にこだわる棋士が、
 今日も盤上に駒で絵を描こうとしているのだが、
 相手があるものでままならないけれど、
 そのスタイルを変えるつもりはさらさらない。

 この居酒屋の一番の論客の彼は、
 頭の中にたくさんの数字がつまっていて、
 どんな論もそのデータの裏付けとともに語り、
 他の客は誰も反論できず、
 感心もしているのだけれど、
 うちに帰れば、
 何年も彼と口をきかない息子が引きこもっている。

 物静かな老教師、要職につくこともなく、
 あと一年で定年を迎えるのだが、
 毎年一人は必ず自殺しそうな生徒を救ってきて、
 そのことを誰にも言わないし、
 誰もそのことは知らない。

 山のあなたのなお遠く幸い住むと人の言う、
 この解釈を、
 幸せは追い続けても無駄だからここで生きるしかない、
 と解釈する経済学部の学生と、
 幸せを追い求め続けることこそ幸せ
 と解釈する文学部の学生は同じ大学に通い、
 親友だったのだが、
 大学卒業後は一度も会うことはなく、
 年賀状のやりとりすらせず、
 今は二人とも幸せについて考えることもなく暮らしている。

 深夜営業の喫茶店、
 常連の三人、男男女、
 いつものように均等に距離を置いて座り、
 冷めたコーヒーが半分残ったカップを前にして、
 文庫本を読むともなく読みつつ、
 一時間ほど時間と空間を共有し、
 それぞれ暗い部屋に戻っていく。

 女学校では禁止されていた洋画を
 よく見に行ったというくらいハイカラだった祖母は、
 自転車に乗ることができず、
 晩年になっても
 自転車に乗れるようになった夢をよく見ると言っていた。

 毎日、同じ時間にこの道を通り出勤し、
 毎日、同じ時間にこの道を戻り帰宅する彼は、
 この道が毎日違うということを知っていて、
 毎日、新しい道を通っていると思っているのだが、
 そのことは誰に言っても理解してもらえないことはわかっているので、
 自分だけの密かな楽しみにしている。

まだ、ポイポイ思いつきそうですが、
他に書かなくてはいけないものがあるもので、
今日はこんなところで。

いつか、ブンガク仲間と泊まり込みで、
一文物語会でも開こうかな。

Love & Peace ・・)v

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