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いのち

夕食後、キッチンで洗い物をしていると、
娘が、大きな声で、隣の部屋から呼びます。

「パパ、ドリスが出てこないよ」

ドリスとは、うちで飼っているハムスター。
ドリスの世話は、娘が担当なのですが、すぐ忘れてしまうので、
いつも僕が面倒を見てきました。

あまりにしつこく娘が僕を呼ぶので、様子を見に行きました。
すると、いつも元気に走り回っているドリスの気配がありません。

ドリスは、巣の隅で、綿にくるまって死んでいました。
かわいい寝顔、手のひらにのせると、お腹に大きなこぶがありました。
できものがあったことは知っていたのですが、こんなに大きくなっていたとは……。
悪い腫瘍か、癌なのでしょう。

娘は泣き出しました。
僕はドリスを娘の手のひらにのせました。

僕たちは、すぐシャベルを持って、外に出て、
さつきの花壇の隅に、交替で、穴を掘りました。
穴の底にドリスを寝かせると、
娘はうちの中に走っていき、ひまわりの種を持っきて、お墓に入れました。
土をかけて、僕たちはおやすみと言い、手を合わせました。

娘の涙は、
別れの哀しさからだけでなく、
ドリスの世話を僕にまかせっぱなしだったことの後悔からでもあったはず。

ちょうど、愛犬が死んだとき、僕が後悔で涙したように。

僕たちは、夜空を見上げ、
最近覚えたばかりの冬の第三角形の星三つの中に、
ドリスが登っていったことにしました。

死んでもいい命など、この世に一つもありません。

自分は、戦争には行かず、行かせる側の立場にあり、
「お国のために命を投げ出すよう教育せよ」などという政治家がいるこの日本。

ドリスよ、僕たちのたたかいを、空から見守っておくれ。

おやすみ、ドリス。

Love and Peace

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