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祖父の恋

僕は今年、我が家の家宝を引き継ぎました。
それは「鑑定団」に出てくるような古くて高価なお宝ではありません。
南方で戦死した祖父が祖母に宛てて書いた手紙なんです。
「検閲済み」の印が押された恋文。
その手紙の差し出しの住所の一つに「昭南島」がありました。
そう、それは今回、娘と行ってきたシンガポールのこと。
シンガポールはかつて三年間、日本の領土だったんです。

ある手紙の中で祖父は祖母にこう書き送りました。
「俺は今欲望とたたかっている。これもお前のためだ」

たぶん、「慰安所」のことを言ってるんだと思います。

シンガポールの戦争博物館に行くと、
従軍慰安婦の写真がありました。
まだ幼い少女たち。
韓国からウェイトレスの仕事だと騙され連れてこられた少女もいました。

今、「最後の場所で」という本を読んでいます。
まだ若いコリアンアメリカン作家の長編小説。
彼はあるときふとそれまで知らなかった「慰安婦」のことを聞き、
その時の衝撃からペンをとったそうです。

綿密な取材と圧倒的な想像力、そして創造力、
まさに脱帽の戦争文学。
慰安所の様子などが、ものすごい迫力で描かれています。
戦時を回想する老人の心理描写も見事。

祖父ははたして欲望に打ち勝てたのでしょうか?

祖父は祖母にぞっこんだったようです。
検閲後の文面からもそれは伝わってきます。

一方、祖母は……?

親が勝手に嫁ぎ先を決めた時代。
祖母は、それほどじゃなかったんじゃないでしょうか。
僕はそんな気がしています。

妻に恋していた祖父、
やや片想いだったようですが、
この夏、じっくりその声に耳を傾けてみようと思っています。

Peace^^v

追伸
おじいちゃん、
おばあちゃんは「冬ソナ」毎週見て、
おじいちゃんとのこと思い出してるんだと思うよ。

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